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No.44 魚貫炭鉱

左上:岸壁近くの運搬路出口 左下:山腹に開く運搬坑道 上中:埠頭 右上:ホッパー 右下:ベルトコンベアーの橋脚か

概要
 烏帽子坑に近い熊本県天草市南部に、小規模ながら幕末より採炭が始められた魚貫炭鉱があります。明治36年に日本練炭株式会社が買収し組織的な採掘が始まり、烏帽子坑と同じ良質の無煙炭を産出しました。大正時代末からは次々に経営者(会社)が変わることになりますが、戦後は天草市苓北(旧天草郡苓北町)に志岐炭鉱を持つ久恒鉱業株式会社の経営に。昭和26年には魚貫炭鉱株式会社として独立し、中ノ浦坑、魚貫坑、久貫坑の3坑口で採炭が行われました。それぞれの閉山の時期など詳しくはわかりませんが、昭和47年までは中ノ浦坑での採炭は行われていたようです。烏帽子坑と違い 近年まで採炭が行われいたために多くの遺構が残されていますが、中ノ浦坑、魚貫坑、久貫坑の3坑口はそれぞれ離れており、1回で全てを見て回ることはできません。今回は中ノ浦坑周辺の遺構を見てきました。

 中ノ浦坑の遺構は、桜川の河口付近の入り江に面した場所(マップル地図)に点在しています。上部写真の右上が簡単に見つけることができる鉄筋コンクリート造のホッパー。数十メートル東側には、石炭の積み出しが行われたであろう埠頭があります。その中間地点には運搬路の出口(上部写真左上)があり、一見すると“斜坑”のようにも見えます。しかし内部は浅く潜ったあと地下道のように水平に進んでおり、先ほどのホッパーの近くで再び口を開けて終わっているようです。おそらく内部にベルトコンベアーなどが設置され、石炭の積み出しに使われた施設ではないかと思います。また付近の山腹に大きな運搬坑道(トンネル)や一列に並んだコンクリートの橋脚など発見したものの、肝心の坑口は既に山崩れで埋まってしまっているとのことで、その場所を特定することはできませんでした。

魚貫坑の遺構

 このほかにも現地周辺の広い範囲で複数のコンクリート造の遺構を確認することができました。熊本県の近代化遺産調査報告書によると洗炭(選炭?)場や捲き場、共同浴場跡なども残っているとのことで、残り二つの坑口周辺にも数多くの遺構があることが予想できます。

魚貫坑の遺構

 
所在地
熊本県天草市魚貫町に点在
問い合わせ
天草市教育委員会
〒863-8631 熊本県天草市東浜町8-1
電話:0969-23-1111 FAX:0969-23-1191
  
アクセス

  • 魚貫港北側にある県道35号のトンネルを抜け、左折して橋を渡る。
  • 橋を渡って未舗装路を海岸線に沿って進むとホッパーが見える。(下図のポイント)
  • 周辺の森の中や藪の中に広範囲に渡り遺構が点在する。
  • 藪に埋もれて穴や段差があるので探索は非常に危険。
地図はコントロールボタン以外にもダブルクリックで拡大移動、ドラッグで移動できます。
  

関連リンクこちらのサイトで紹介されています

 
旧道方面
南九州の旧道・石橋・隧道などをメインに廃道や廃隧道もなど幅広くリポートされています。今回は 「TOP > 廃的方面 > 牛深炭坑跡」で烏帽子坑とともに紹介。
 

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■「熊本県文化財調査報告第182集 熊本県の近代化遺産」熊本県教育委員会/編 1999年