曽木発電所遺構との出会い
この曽木発電所遺構の存在を知ったのは最近のことだ。熊本県坂本村の深水発電所で、思いのほか満足できる調査が行えた私は「水力発電所だったら山間部に古いものが結構残っているのではないか」と考えた。そこでWeb上で古い発電所に関する情報を検索してみると、あっさりと「曽木発電所遺構」に辿り着いたのだった。その時も同じような写真を見たが、その遺跡というに相応しい姿に一瞬にして魅了された。さらに面白いのはその特異な姿や環境だけでなく、「曽木発電所」が持つ歴史だ。その歴史も調べつつ、まずは現地調査だ。3月末に現地へ行くことが出来たが、水没している姿を写真撮影しただけで終わった。今回の報告書に使用している写真は、6月のダム湖の水位が下がったときを狙って撮影しに行ったものだ。
現地調査
鹿児島県大口市に流れる川内川には、東洋のナイアガラとも言われる「曽木の滝」がある。高さは12mほどだが幅は200m以上にもなり、水量も多く迫力のある瀑布を見ることができる。曽木発電所遺構は、「曽木の滝」下流の約1.5kmの川内川北岸に位置している。さらに約8.5km下流には鶴田ダムがあり、そのダム湖によって曽木発電所遺構は1年の大半を水に浸かることになる(左写真の左奥に見えるのがダム湖)。発電所遺構の対岸は公園としてきれいに整備されており、遺構全体が見渡せることができる高台には案内パネルが用意された展望所が作ってある。
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