河内貯水池は、昭和2年に八幡製鉄所に水を供給するために造られた工業用貯水池です。堰堤だけでなく関連施設や橋なども八幡製鉄所によって造られています。頂上高189mもある堰堤はコンクリート本体の前面背面を石積みで覆うという凝ったものなのですが、その凝り方が普通ではありません。近くに寄ってみると、堰堤の規模に全く見合わない非常に小さな細工が随所に施され驚かされます。通路や堰堤にある取水塔などには、石を小さく砕いたものや天然の形状の小石をビッシリと並べて貼り付けてあり、非常に凝った装飾になっています。当時の八幡製鉄所のセンスというか、効率・機能重視の現在では絶対考えられない造りは、一見の価値有りです。是非実物を見て驚いてください。地元に住む友人に聞いたのですが、この河内貯水池には、建設当時に資材運搬に使っていた蒸気機関車がそのまま湖底に沈んでいるという噂があるそうです。なんだか面白そうですね。
南河内橋も同じく昭和2年に竣工しているのですが、この橋もまた非常に凝った造りになっており、その構造は誰が見ても特徴的なものです。レンティキュラー・トラスという構造で、国内での建造は3例しかないそうです。現存するのはこの南河内橋だけという、全国的、いや世界的にも大変貴重な橋です。土木学会のAランク土木遺産。
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