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内大臣森林鉄道・鴨猪谷支線 No.04
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調査実施:2005年7月 報告書作成:2005年8月17日
       

現地調査(第3回・後半・本調査)

 鴨猪谷支線の合流部から源流部は、ほとんどが林道(車道)転用された区間だ。しかし、源流部の「穴谷」付近は、実際の林道と、地図上に見る軌道跡と思われる軌跡に食い違いがあるように思える。そのため、まずは実際の林道がどこを走っているか把握し、その上で地図上の軌道跡と比較して位置関係を確認したい。この林道は尾根近くの路盤崩落箇所がその終点だが、明らかに穴谷ではない。そうなると、鴨猪谷支線の最深部に当たる部分は、林道転用されることなくひっそりと森の中に残っている可能性が考えられる。そこで今回は事前調査とし、バイクで林道を行けるところまで行き、その軌跡をGPSに記録することにする。その記録を元に最深部である「穴谷」周辺の軌道跡の調査計画を立てたいと思う。もちろん、ただ林道をバイクで走るだけでなく、穴谷周辺で林道から外れて存在するであろう軌道跡の発見も期待してスタートだ。
 


ポインタを重ねると重描きの線(軌道跡)を非表示にでき、本来の状態を表示します
 

源流部目指し林道を上る

 バイクで合流部から源流部目指して林道を走る。尾根を越えることなく行き止まりになる割には道の状態はよく、また途中に天主山登山口があるため結構交通量もある。林道転用された軌道跡は、その痕跡をほとんど残していないが、合流部近い地点の一箇所だけ路面に枕木が並んでいるのを見ることができた。それ以外には軌道跡と思える痕跡は見当たらないが、鴨猪川の中の岩間にグニャリと曲がったレールを何本か見ることはあった。林道は地点辺りから上り勾配がきつくなり、またカーブの半径が非常に小さい箇所もあり、明らかに軌道跡を林道化したものではないようだ。そのかわり、ぐんぐんと標高は上がっていき尾根も目の前に見えてくる。と、ほどなく地点付近で路盤崩落の為に林道は終わった。地図上に林道をプロットするためにGPSで記録が取れた以外に、これといった収穫もなくUターンする。(「鴨猪谷支線・源流部拡大図」の赤線は、GPSで記録したトラックデータを基に地図上に描画している。やはり、穴谷付近では地図上の実線と異なっていることがわかる。)

地点から地点までの未踏査区間の一部は雑記帳「内大臣森林鉄道鴨猪谷支線未踏査区間」に掲載。
 

   
  
見えてくる一本の線

 源流部へのアクセスが分からないまま引き返すのは残念だが、GPSで林道の記録を取るという目的は達成できたから良しとして、今さっき上がって来た林道をトボトボ下り始めた。200mほど下っただろうか、林道脇の森が伐採されている所(地点)にさしかかったとき、一瞬ある地形が目に入った。んん?おお!まさに一瞬だったので、その場を通り過ぎてしまい慌ててUターンして戻ってきた。運良く見つけてしまった“ある地形”とは、伐採された斜面を水平方向に横切る一本の段だ。写真でお分かり頂けるだろうか。斜面を横切る一本の線は正に軌道だ。この時ばかりは、よくぞ気付いたものだと我ながら感心してしまったが、もしここで気が付かなかったら内大臣森林鉄道鴨猪谷支線の調査もここで終わってしまっていただろう。

軌道の発見!そして!

 早速バイクを停め、斜面を軌道目指して登ってみると、苔で出来た緑の絨毯の中に2本のレールがキレイに並んでいた。無事源流部の軌道を発見できた喜びと、尾根間近のこのような場所に軌道がある驚きで、現地でしばらく一人感動ワナワナ状態であったが、時間もなかったので即周辺の探索を始めた。とりあえず、軌道の下り方向(この時は根拠がない)に向かって歩き始めたが、数十メートル進まずして林道へ突き当たった。周辺を見てみるも、この先どう軌道が繋がっていたかよく分からない。写真の様に軌道跡を大きく断絶するかのように、さっき通ってきた林道が横切っている。レールは写真白○内の様に、林道の法面にちょっこっと顔を出しており、林道建設の為に軌道跡が大きく削り取られたことが分かる。後日だが、これより下方でも林道によって分断されている軌道跡を見つけることが出来た。思うに、有る程度は軌道跡を利用して林道を作ったが、源流部近くは軌道跡を無視して林道を建設したために、この様な形になったのだろう。
 

   
  

更に続く軌道

 さて、先ほどの発見地点(地点)に戻ってきた。反対側である上り方向の軌道は深い森の奥へと延びている。きっとこの先が「穴谷」の最深部へと向かっているのだろう。もしかしたら「鴨猪谷支線の終点」まで繋がっているのかもしれない。森林鉄道の終点なんて何もないだろうが、ここまで来たのだから目指してみたいものである。いや、終点に立たなければならないような気がしてきた(笑)。しかし、本日は時間切れ。この続きは次回の調査にしよう。もうヘロヘロに疲れていたが、最深部への入口を見つけるという大収穫を得て、早々と次回調査に胸を躍らせながら家路についた。
 

 
つづく