熊本県で最古の水力発電所が奇跡的にも現存しています。熊本県八代市(旧・坂本村)にある鮎帰発電所です。この発電所は当サイトでも紹介している旧・坂本村にあった製紙工場(九州製紙) 付属の発電所で、1909年(明治42年)に竣工しており、やがて100年たとうとしています。出力は最大408kwと小さなものでしたが、近くにある深水発電所と共に昭和63年の工場閉鎖まで発電をしていました。
発電所なのに木造というのも面白いですが、よく見てみると細かなところに装飾が施されて凝った造りになっています。まず、すぐに目に付くのは屋根の上の飾りです。建物の入り口は車寄せになっているのですが、その小さな屋根にも同じ様に飾りがあります。また窓枠にもシンプルながらデザインが施されています。
実はこの廃発電所、他の廃発電所にないスゴイ特徴があります。見ることは出来ませんが、なんと建物の内部には、発電機や水車などが当時のまま残されているとのこと。また発電所背後の山の斜面には、劣化は激しいものの鉄製の導水管もそのまま。取水口の水門なども荒れてはいますが残っています。何もかもが100年前とほぼ変わらず残っているという点では、とても貴重な文化財にならないでしょうか。廃止になって20年近くなりますが、よくぞ残っていたものです。しかしこの先、将来にわたり保存していくためには、何かしらの活用方法を見つけなければいけないと思います。現在、この鮎帰発電所は深水発電所と共に、日本製紙株式会社の所有になっています。 |