地図上で2つ目のトンネルを通過したということは、残る調査対象はヘッドタンクのみである。距離は約1.4kmしかないが、調整池から八号隧道出口付近まで500m歩くのに30分もかかっている。正直倒木とシダの藪にウンザリしてきたところに、自分が歩いているルートとほぼ並走して100mほど下の斜面に林道が走っているのが見えた。地図には記載されていないので新しい林道のようだ。調査を開始したB地点の100mほど集落よりに林道の入り口があったが、おそらくその道だろうと地図上では想像できた。「ひょっとしたら、あの林道がヘッドタンクまで続いているのかな」などと考えもしたが、やはりここまできたので水管に沿ってサージタンクを目指したい。もちろん帰りは適当なところで林道に下れば楽に歩けそうである。帰りの逃げ道を確保できたこともあり、気力は復活した。この時点ではヘッドタンクのことしか考えていなかったが、まさかの大発見に身を震わすことになろうとは予想もしていなかった。
地図で水路が鞍部を横切る部分がある。「ここもトンネルかなー」なんて考えていたらやはりそうだった。看板こそないが「九号隧道」になる。この辺りは踏み跡がハッキリ付いており、地籍調査票なる杭と目印のテープがあちこちにある。道も平坦になりかなり楽だ。と、その道が稜線へと登り始めた。水管は地中に埋まって見えないので分かり辛かったがまたまたトンネルのようだ。順序として「十号隧道」だ。稜線を越え再び平坦な道に戻った所に、水管の空気抜きのパイプが顔をだしている。脇に短いコンクリート製水管の一部を見つけた。おそらく補修用などに使われたのだろう。人力でここまで運ぶのは大変だろうなあ…。
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