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No.21 坂本隧道・旧西日本製紙工場跡

左:工場敷地跡 右上:坂本隧道 右下:敷地内に残るトロッコ軌道

概要
 熊本県八代市(旧坂本村)に、九州では初めての近代的製紙工場が操業を始めたのは明治31年のこと。山深いこの地が工場の立地に向いているとは思えないのですが、製紙工場は大量の水を使うということを考えると納得できます。近くに水量豊かで水運にも使える球磨川があり、また落差の大きい支流の水資源は発電や動力としても使いやすかったために当時の製紙工場としては好条件な立地だったようです。

 明治31年にこの製紙工場は東肥製紙株式会社として操業を始めますが、その後度重なる合併・吸収・分離を経て昭和63年に西日本製紙株式会社として解散・閉鎖されました。およそ100年続いた製紙工場は山深いこの地に多くの産業遺産を残しています。工場本体は上記写真のように解体され更地となっていますが、跡地にはトロッコの軌道やJR肥薩線の坂本駅へ接続されていた引込み線跡などを見ることができます。また、工場付属の水力発電所の深水発電所(大正10年)と鮎帰発電所(明治42年)はほぼ操業当時のままの姿で現存しており、貴重な産業遺産として保存すべきものだと思います。詳細は以下の報告書をご覧ください。

 
所在地
熊本県八代市坂本町坂本
  

報告書当サイトで詳しく報告しています

 
西日本製紙
調査番号 001 名  称 坂本隧道・旧西日本製紙株式会社工場跡

種  類 交通/産業

所 在 地 熊本県八代郡坂本村
調査状況 完了 報 告 書 No.01 / No.02 / No.03完

アクセス

  • 国道219号から県道17号へ。旧坂本村の中心部を通り、油谷、鮎帰方面へ。
  • JR肥薩線の坂本駅からすぐ。
地図はコントロールボタン以外にもダブルクリックで拡大移動、ドラッグで移動できます。
  

関連リンクこちらのサイトで紹介されています

 
DPL
ニコソFGさんのWebサイト。九州の廃墟や産業遺構を美しい写真と共にレポートされています。今回の物件は「廃墟・遺構探索レポート」 > 廃墟・遺構写真(レポート関連) > 廃墟・遺構レポート編 > 西日本製紙工場跡 で詳しく紹介。
 

関連図書こちらの書籍で紹介されています
 

■「紙漉きの渓 坂本工場の軌跡」西日本製紙株式会社/編 1988年
■「坂本村史」坂本村村史編纂委員会/編 1990年
■「熊本県文化財調査報告第182集 熊本県の近代化遺産」 熊本県教育委員会/編 1999年